b.スターリングエンジン開発の歴史
このような作動原理を持つスターリングエンジンは、1815年ロバートスターリング(Robert Stirling)による空気を媒体とする往復機関連動の発明から、1877年のオットーによるガソリンエンジンの発明や1893年のR.ディーゼルによるディーゼルエンジンの発明がなされるまで、第一開花時代を迎える。その後、各種競合熱機関を前に一度は影を薄めたるターリングエンジンであるが、最初の発明より、実に120年後にPhilips社によって取り上げられ、さらには1973年の第一次オイルショック時には、時代のニーズに適合するエンジンとして注目を集め、これより第二開花時代を迎えることとなる。以降、諸外国では、Pbilips社(オランダ)、General Motors社(アメリカ)、United Stirling社(スウェーデン;現Kockums社)、MAN/MWM社(ドイツ)、Ford社(アメリカ)、Stirling Thermal Motors社(アメリカ)、Mechanical Technology社(アメリカ)、Stir1ing Power Systen社(アメリカ)等が、積極的に開発を進めている。
一方国内でも、1976年〜1981年にかけて(社)日本造船研究協会及び民間企業(ダイハツ工業、三菱重工業等)が、舶用スターリングエンジンの開発を実施。1982年から6ヶ年計画で実施された通産省のムーンライト計画では国立研究所及び民間4社(アイシン精機、三洋電機、東芝、三菱電機)が、ヒートポンプ駆動用を設定したスターリングエンジンを開発した。また同じく通産省の重要技術研究開発補助事業として、1976年〜1978年及び1979年〜1981年にかけて、民間2社(東京ガス、アイシン精機)においてスターリングエンジンの開発研究が実施されている。
このように、国内外の多くの企業又はプロジェクトによるスターリングエンジンの開発研究により、スターリングエンジンのシール性能、熱効率の向上、そしてなによりエンジンとしての信頼性の向上がなされ、スターリングエンジンの実用化が確立されてきた。国内で言えば、前記のムーンライト計画では、特に大きな成果を挙げており、ここで開発された実用型スターリングエンジンは、世界でも最高水準に達している。ムーンライト計画にて開発されたスターリングエンジンについては、後述のスターリングエンジンの比較選定にて紹介する。
C.スターリングエンジンの特徴
スターリングエンジンは、一般的に熱力学的又は機構学的に以下の長所を持つ。
(1)スターリングエンジンは、その作動ガスを外から加熱する外燃式機関であるため、多種類の燃料(または高温エネルギ源)の利用が可能であり、燃焼が連続的であるため排気公害が少ない。
(2)スターリングエンジンでは、内燃機関のようなシリンダー内での爆発
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